ビル管や電験の資格を取れば「選任」されることもあると聞きました。選任のメリットとデメリットを教えてください。
このような疑問を持つ方はいませんか?
ビルメン系資格の中には有資格者の中から選任して役所に届け出ないといけない資格もあります。
この記事ではそのような資格を紹介し、選任されることのメリットデメリットを解説します。
現役ビルメンの上記の疑問への答えをぜひご覧ください!
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選任とは?【責任者として資格所有者を届け出る】
結論から言うと、
選任とは有資格者を責任者として役所に届け出ること
になります。
もう少し詳しく言うと、
オフィスビルや商業施設、ホテルや病院などでは、電気設備や危険物、冷凍機やボイラーなどの様々な設備を取り扱っています。
それらの各種設備は取り扱いを間違えると重大な事故に繋がる危険性があり、適切に管理しないといけません。
法律によって、それらの設備を取り扱うことの出来る資格を持っている人を役所に届け出るように決められているのです。
この選任を怠ると罰則規定があるので、必ず届け出をしないといけません。
ビルメンテナンス会社が管理している物件にも選任が必要な場面が多々あります。
そのためビルメンテナンス会社は有資格者を採用において優遇したり、自社のビルメンに資格を取るように促すのです。
ビルメン資格の選任例
ここではビルメン資格で選任される例を紹介します。
思ったより多いと感じるかもしれませんが、それだけビルメンの仕事において資格は重要になるのです。
▼参考記事▼
ビルメン4点セットを解説!|【難易度と取得する順番について】
電験の選任
事業用電気工作物には電気主任技術者を選任して、産業保安監督部という所に届け出ないといけません。
事業用電気工作物とはザックリ言うとオフィスビルや工場、病院などの大きな建物のことです。(一般的な戸建ての住居などは「一般用電気工作物」と言って該当しません)
- 電験1種:全ての電気工作物
- 電験2種:17万ボルト未満の電気工作物
- 電験3種:5万ボルト未満の電気工作物
このように電圧によって必要な資格が異なります。
電験三種を取得したらビルメンと保安協会どっちを選ぶか?【転職】
ビル管の選任
ビル管(建築物環境衛生管理技術者)を選任しないといけない場合は、
- 延床面積3000平方メートル以上の特定建築物(オフィスビルやホテル、商業施設など)
- 延床面積8000平方メートル以上の学校
です。
これらに該当する場合はビル管の有資格者を保健所を通して都道府県に届け出ないといけません。
ちなみにビル管の選任は「兼任」可能です。
一人で複数棟のビルを管理することができます。
【ビルメン】建築物環境衛生管理技術者とは?【難易度・合格率】
冷凍機械責任者の選任
一定規模の冷凍設備を持つ事業所は冷凍保安責任者を都道府県に届け出る必要があります。
- 第一種冷凍機械責任者:全ての製造施設
- 第二種冷凍機械責任者:1日の冷凍能力が300トン未満の製造施設
- 第三種冷凍機械責任者:1日の冷凍能力が100トン未満の製造施設
失敗しない!第三種冷凍機械責任者に独学で受かる勉強方法のコツ
危険物の選任
重油などの危険物を取り扱う設備があれば、危険物の資格を持っている人を危険物保安監督者として選任し、市町村長に届け出る必要があります。
ビルメンでも非常用発電機のために危険物を貯蔵しているところもあるので無関係ではありません。
ガソリンスタンドが有名ですが、ビルメンでもあるんですね。
ビルメンなら危険物乙種4類は取っとけ|おすすめ参考書と勉強時間
エネルギー管理士の選任
規定量以上のエネルギーを使用する工場や事業所ではエネルギー管理士を選任して経済産業局に届け出します。
大規模な工場の設備管理をしている人には特に関係があります。
エネルギー管理士とは?|合格率や難易度【ビルメン三種の神器】
その他の選任
ここまでで挙げた以外にも、
- ボイラー設備の選任
- 防火管理者の選任
など多くの選任があります。
【設備系資格】選任手当と資格手当の違い
ビルメンには色々な手当がありますが、「選任手当」と「資格手当」の違いは分かりますか?
似たようなイメージで混同しがちですが、
- 選任手当:選任された場合のみつく手当
- 資格手当:試験に合格したり免状を取得したらもらえる手当
要はこのような違いがあります。
つまり選任されると資格手当にさらに上乗せして選任手当をもらえる場合もあるので、それだけ年収は上がります。
ビルメン会社に入る時は選任手当と資格手当についても可能な限り聞いておいた方が良いでしょう。
これら2つは同じようなものだと思ったら大違い。役所に登録する選任は想像以上に責任が重いので引き受ける時はよく考えた方が良いと思います。
▼資格手当の相場についてはこちら▼
知っておきたいビルメンの資格手当一覧!【相場はどれくらい?】
選任のメリットとデメリット
ここまで見てきた選任にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
それぞれ2つずつ列挙しているので、ぜひ参考にしてみてください。
【メリット1】選任手当が付いて年収が上がる
前述したようにビルメンが資格を活かして選任されると「選任手当」がつく場合が多いです。
金額はビルメン会社によってまちまちですが、
- ビル管の選任で5000~1万円
- 電験の選任で1~2万円
このあたりでしょうか。
責任者として自分の名前で役所に届け出をするわけですから、その分給料をもらわないとやってられないですよね。
仮にビル管と電験のダブルで選任されて、それぞれ1万円・2万円と手当をもらうと、
1ヶ月で3万円、1年で36万円の年収アップになります。
ビルメンは給料が安いし昇給も弱いので、こうやって地道に年収を上げていくことが大事です。
【メリット2】電気管理技術者としての実務経験がビルメンでも積める
選任されて実務経験が積めるというのは、大きなメリットです。
ビル管で選任されて役所とのやりとりの経験などがあると、転職にも非常に有利になります。
また、実務経験という面では電験の存在が大きいです。
電験はペーパー電験状態から最初に実務経験を積むきっかけを探すのが難しいので、選任されるのを待ち望んでいる人もいるでしょう。
電気主任技術者として選任され実務経験を積むことによって、転職の幅が格段に広がりますし保安協会への道も見えてきます。
数年実務経験を積んで産業保安監督部に認められると、電気管理技術者としてフリーランス的な働き方もできるようになります。
まあ、電気管理技術者も結構きついとは聞きますが。。
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【デメリット1】電気主任技術者の責任は重い
選任のデメリットとしてはやはり責任が重いということがあります。
例えば電気主任技術者として選任されていて、万一波及事故なんて起こしてしまったら、責任が問われ、損害賠償請求問題にもなりかねません。
「万一」の時が非常に恐ろしいのが選任のデメリットです。
「責任が重いのにたった数万円の選任手当しかないのか・・・」と感じる人は要注意。
【デメリット2】割に合わない
上記のデメリット1とも関連しますが、何かあった時の責任を考えると、「選任手当と釣り合っているのか?」という疑問が残ります。
確かに年収は上がりますし、キャリアアップにも繋がる実務経験も積むことができます。
しかしそれに見合うだけの責任なのか、それとも大きすぎる責任なのかは当人が判断することになるでしょう。
個人的な感覚としては割に合わないんじゃないかと思いますね。
責任の重い選任には注意(電気主任技術者など)
これまでも書いてきましたが、安易に選任されて喜ぶのは早計です。
リスクとリターンは表裏一体で美味い話には裏があるかもしれません。
なんでも軽々しく引き受けるのではなく、
- リスクを理解しているのか?
- 自分に勤まるのか?
- 最悪を想定するとどうなるのか?
最低限、こういう事を考えておくべきです。
まあ、まともな会社なら教育や引き継ぎ、サポートなどあると思うので過度に心配する必要はないかもしれませんが、結局自分の身を守るのは自分だと言うことは覚えておきましょう。
まとめ
いかがでしょうか?
ビルメン資格の選任についての解説でした。
復習すると、
選任のメリット
- 年収アップ
- 実務経験が積める
選任のデメリット
- 責任が重い
- 割に合わない
このようになります。
選任をやりたいかやりたくないかは個人の価値観や判断になると思います。
「絶対イヤ!」って人もいれば、「経験のためにどんどん選任されたい」という人もいます。
個人的に感じるのは、上昇志向がありキャリアアップのために選任されるのは良いと思いますが、単純に年収アップだけが目的の場合は止めておいた方が良いような気がします。
この記事があなたのビルメン転職の参考になると幸いです。
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